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東大模試への疑問

東大の模試ラッシュが続いている。受験してきた生徒が「これって本当に東大の傾向に沿っているんですか?」といつもながら質問に来る。

例えば「近世災害史」に関する「土砂崩れと芝草地」という出題・・・最終的にはこんな感じに纏める様に指示されている。

「入会地」である芝草地は地域共同体の共有地で,肥料である刈敷を自給するために必要であったが,近世になると近隣の「禿山」化による土砂崩れを防ぐために松を植えることが行われ,その松などの花粉が飛来したため,「芝草地」が「森林(!)」に変化し,肥料を入手することが困難になってしまった。貨幣経済の進展によって商用作物の輪作栽培が増加し,土地の地味が薄れるため肥料は不可欠のものになっていたため,「金肥」様が登場するである!しかし肥料を買う金銭的余裕のある富農と貧農には経済格差があるため,結局,農民の階層分化が進むのだ…という話だが…

ううむ・・・

まず,禿山が増えたのは中世から畿内で多く見られる現象であり,仏像の寄木造も大量生産と一木造の木材不足から編み出された方法である。鎌倉時代の東大寺再建にも周防国が東大寺の知行国とされ,重源が奔走したのは柱の材木が畿内で不足しているからに他ならない。

また「芝草地」の用法だが・・・桃太郎のフレーズ(笑)だが,「おじいさんは山へ芝刈りに,おばあさんは川に洗濯へ・・・」つまり入会地である山は燃料を取るために庶民生活に必要である点が看過されている。何も「刈敷」だけのために存在したわけではない。

畿内の山が禿山なのは建築物に使う材木の乱伐採,および燃料の取り過ぎが原因とされているため,寺社や建造物が多く作られた畿内近隣山林が多いのは頷ける。

しかしこれはこうした地域の特性を限定している問題である。一方,東大では日本史全般の流れや最新の研究動向,全国的観点から出題されるのが一般的であり,模擬試験とするにはやや疑問符が残るものであった。

生徒に聞くと「ここの問題だけ違和感があった」だそうだが,他の問題も…無理があったかな。もう一度見てみようか。

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【DR.TEPO】
神奈川県在住の予備校講師。専門は日本中世史・宗教史。予備校で日本史を教えつつ,大学入試問題を解き,史学との接点を考えて本質的な受験指導と,歴史認識を平易に伝えたいと教授法を日々考察している。
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